※本記事は一般的な情報です。個別の契約内容・状況で結論は変わります。不安な場合は契約書を確認のうえ、管理会社や専門家にもご相談ください。
【この記事で分かること】
- 「掃除したから払わない」が通りにくい“本当の理由”
- ガイドラインより「特約」が強くなりやすい実務の現実
- 立会い担当者を敵に回して損するパターン/得する立ち回り
- 修繕費を減らしやすくする“言い方”と準備
こんにちは。現役の不動産店長(宅建士)のだいきです。
退去時にこう言いたくなる気持ち、めちゃくちゃ分かります。
「クリーニング代 5万円…?いや、来た時よりピカピカに掃除したんですけど!」
「国交省のガイドラインでは借主負担じゃないですよね?」
「不動産屋に『ガイドライン違反だから払いません』って言っていいですか?」
……ここで、あえて冷たいことを言います。
その戦い方、かなり高確率で“損”に寄ります。
なぜなら、あなたが戦っている相手は「汚れ」じゃなくて、
契約書に書かれた“特約”と、そして何より「立会い担当者の心理」だからです。
今回は、教科書通りのルール論ではなく、
現場の人間(立会い担当者)がどう動くかを踏まえた、退去費用を抑える“現実解”を話します。
結論:クリーニング代は“負け戦”になりやすい。狙うべきは別の費用
先に結論を言います。
- 契約書に「退去時クリーニング費用:〇〇円(借主負担)」と明記されている
- そして説明を受けて、あなたが署名・押印している
この条件が揃っていると、クリーニング代は“ひっくり返しづらい”です。
だから、そこに全力で突っ込むと消耗します。
逆に、立会いで差が出るのはこっちです。
- クロスの一部汚れ/小傷の扱い
- ちょい欠け、ちょい剥がれ、軽微な補修の範囲
- 「これは請求にする?生活摩耗として流す?」のグレーゾーン
ここで数万円単位の差が出ること、普通にあります。
だからこそ、クリーニング代で“戦闘モード”に入る前に、作戦を変えてください。
「来た時より綺麗にした」は通用しにくい。あなたの掃除と、プロの仕事は“意味”が違う
ここ、誤解されやすいポイントです。
管理会社がクリーニング代を請求するのは、
「あなたの部屋が汚いから」だけじゃありません。
次の入居者に対して、
「この部屋は、プロ清掃を入れて品質を担保しています」
と言い切るためです。
あなたが激落ちくんで完璧に磨いても、
次の入居者が「なんか臭い」「ここ汚れてる」と言えば、矢面に立つのは管理会社側です。
だから、必要なのは“主観”じゃなく“証明”。
つまり「プロ清掃を実施した」という領収書や履歴なんです。
クリーニング代は、掃除の手間賃というより
「次の人が安心して入居するための“品質保証の仕組み代”」
この感覚が近いです。
「ガイドライン」VS「特約」:実務で強くなりやすいのはどっち?
国交省ガイドラインの考え方自体は、すごく大事です。
ただ、実務ではこうなりがちです。
- ガイドライン:原則(基本の考え方)
- 特約:個別の合意(契約書に明記され、署名押印されている)
契約書の特約に金額まで書いてあると、
「説明して合意しましたよね?」で返されやすい。
ここで「消費者契約法が〜!」と大声で勝負するのは、労力の割にリターンが薄いことが多いです。
(勝てるケースがゼロではないですが、状況・文言・説明の有無で変わります)
そして何より、ここで“戦闘モード”に入ると次が起きます。
立会い担当者を敵に回すと、財布が死ぬ(マジで)
現場で実際にあるのが、このパターンです。
損するパターン
客「これ、ガイドライン的に払う必要ないですよね?」
客「クリーニング代、掃除したんで拒否します」
客「これ生活摩耗ですよね?証拠あります?」
担当者も人間です。
こういう入り方をされると、どうなるか。
- 「うわ…後で絶対ゴネる人だ」
- 「言質取られる前に、規約通り“全部”拾っとこう」
- 「後で揉めないように、今のうちに写真と記録を厚くしとくか」
結果、本来なら
「まあこれくらい…生活摩耗でいいか」
と流してもらえた軽微な傷まで、きっちり計上されやすくなります。
クリーニング代を削りたくて戦ったのに、
クロス・補修・部材交換で上乗せされる。
これ、退去費用で“あるある”の自爆です。
一番得するのは「担当者の味方」になれる人
逆に、得する人の共通点はシンプルです。
- 挨拶が普通に気持ちいい
- 部屋を丁寧に使っている(最低限でOK)
- 契約の範囲は理解している(全面降伏じゃなくていい)
例えば、クリーニング特約があるなら、こう言う。
「クリーニング代は契約上のものですよね。お願いします」
この一言で担当者の警戒が一気に下がります。
すると、グレーなところで
「ここは今回はいいですよ」
が出やすくなる。
これが“現場”です。
正論で殴るより、人間としての空気で数万円変わること、普通にあります。
今日から使える「立会いで損しない」言い方テンプレ3つ
言い方で得するためのテンプレ、置いておきます。
損しない言い方テンプレ
■テンプレ①(最初の一言)
「長い間お世話になりました。最後もスムーズに終われたら嬉しいです」
■テンプレ②(クリーニング代の受け止め)
「クリーニングは契約ですよね。大丈夫です。お願いします」
■テンプレ③(グレーな傷が出た時)
「もし可能なら“生活摩耗の範囲”で見ていただけると助かります。難しければ規約通りで大丈夫です」
ポイントは、“交渉してる感”を出さないこと。
「お願いします」「助かります」で空気を作って、
最終判断を相手に持たせる。これが強いです。
さらに一段ラクになる準備:写真とメモは“自衛”として最強
これは揉めるためじゃなく、誤解を防ぐため。
- 退去前に、部屋全体をスマホで軽く撮影(広角でOK)
- 気になる箇所は寄りで追加
- 入居時にも写真が残っているなら最高
「言った/言わない」を避けるだけで、無駄な衝突が減ります。
まとめ:クリーニング代は割り切り、愛嬌で“他”を削れ
退去費用を賢く抑えるコツはこれです。
✅ 今回のポイント
- 負け戦(特約のクリーニング代)は、無理に殴りに行かない
- 勝ち戦(グレーな修繕箇所)を拾いに行く
- 担当者を敵にしない。むしろ味方にする
「交渉で勝つ」じゃなく、
“好かれて得する”が一番コスパいい。
ガイドラインを振りかざすより、
気持ちいい挨拶と、空気の作り方で数万円変わることもあります。


