「近くに来たんで、ちょっと物件見たくて」
「予約してないんですけど、いけますか?」
ふらっと不動産屋に入る。
気軽でいいですよね。感覚的には「カフェに入る」のとあまり変わらない、という方も多いと思います。
でも、現役店長として「現場の本音」を言わせていただくと、こうです。
- 店内がガラガラでスタッフに余裕があるなら、飛び込みも全然ウェルカム
- 逆に、予約で満席・電話も鳴りっぱなしの日に来られると、正直「勘弁してくれ…」
そして一番困るのが、
「今はいっぱいで対応できないんです」
と丁寧にお断りした瞬間に、不機嫌になったり、あからさまにキレてしまうお客様です。
こんにちは。不動産業界14年目、宅建士で現役店長のだいきです。
今日は、
「アポなし来店(飛び込み)」がなぜそんなに損なのか、
そしてその場で態度に出してしまった人が、
裏でどう見られているか・何を失っているか
という、少し怖い話をします。
この記事を読むだけで、あなたは
- 「門前払いされる損な客」
から
- 「歓迎される賢い客」
に変われます。
この記事で分かること
- 「予約なし」が、店員だけでなく周りの客からも冷ややかに見られている現実
- 満席で断られて「キレる客」が、その瞬間に“審査落ち予備軍”認定されている理由
- 飛び込みでも損をしないための、たった一つの「スマートな引き際」
- プロは即興でも提案できるのに、「そもそも席がなきゃ何も始まらない」という話
「見れば分かるだろ」満席時の飛び込み客への本音
週末の繁忙期。
店内は予約のお客様で満席。
スタッフは資料を印刷したり、電話対応したり、案内から戻ってきたり…と、正直バタバタです。
そんな中でドアが開き、
「予約してないんですけど、今から物件見れますか?」
と言われると、心の中ではこう思っています。
「見れば分かりませんか? 今は無理です…」
もちろん、口ではそんなことは言いません。
「申し訳ございません、ただいまご予約のお客様で満席になっておりまして…」
と、できる限り丁寧にお伝えします。
ここで、
「あ、そうですよね。また改めて予約して来ます!」
とサッと引いてくれる方は、本当に素敵です。
店側としても「次来られた時はちゃんと時間空けておこう」と、好印象で記憶に残ります。
問題は、ここから食い下がる人です。
- 「え、ちょっと資料見るだけでもダメなんですか?」
- 「せっかく来たのに、それはないでしょ?」
- (無言であからさまに不機嫌な顔をして、ドアをバンッ!と閉めて帰る)
こういうリアクションをされると、正直なところ、
「いやいや、時間を守って予約してくれた他のお客様を待たせてまで、
アポなしのあなたを優先する理由はないんです…」
というのが本音です。
不動産の接客は、コンビニで「ちょっと飲み物買う」とは違います。
1〜2時間単位で時間を押さえて、数十万円〜数百万円の契約の話をする場です。
だからこそ、
「予約のお客様を優先する」
のは、ビジネスとして当たり前のことなんです。
その態度、他のお客様に笑われてますよ
以前、実際にあった話です。
繁忙期の土日。店内は予約の方で満席。
そこにアポなしのお客様が来店されました。
私はいつも通り、
「大変申し訳ございません、本日はご予約の方でお席が埋まっておりまして…」
とお伝えしました。
するとその方は、露骨に不機嫌な表情になり、
「は? せっかく来たのに。もういいです」
と捨て台詞を残して、ドアを強めに閉めて帰っていかれました。
その直後、
すぐ隣の席で商談中だった予約済みの常連のお客様が、ボソッと一言。
「あの人、すごいですね(笑)」
「あんな態度じゃ、どうせ入居審査も通らないですよね」
…おっしゃる通りなんです。
店側だけじゃなく、
周りのお客様もかなり冷静に見ています。
- 自分の都合でアポなしで来て
- お店の状況も見ずに「今すぐ対応しろ」と圧をかけ
- 断られたら不機嫌になり、音を立てて帰る
こういう人は、店の中全体から見て
「自分勝手で余裕のない、ちょっと痛い人」
として映っています。
そして本人だけが、その空気に気づいていません。
態度が悪いお客様が、
裏側でどう扱われているかについては、こちらの記事でも詳しく書いています。
不機嫌・圧・捨て台詞…これ、店側だけじゃなく周りの予約客にもバレます。 「損する客」の特徴は、こっちで具体例つきでまとめました。
プロは即興でも提案できる。でも「席」がなきゃ始まらない
ここで1つ誤解してほしくないことがあります。
「予約じゃないと、いい提案ができないのか?」
これは違います。
私たち不動産のプロは、
- 予約があってもなくても
- 初めて話すお客様でも
席について話さえできれば、その場で条件を聞きながら、
即興でベストに近い物件を提案する自信があります。
「準備してないと対応できません」なんて言っていたら、現場は回りません。
■ でも、そもそも“席”がなければ試合開始すらできない
アポなしの最大のリスクは、
「そもそも試合会場(席)に入れない」ことです。
- 物理的に“門前払い”になる
どれだけ腕のいい店長がいても、席もスタッフも埋まっていたら、物理的に対応できません。
「本日は申し訳ございません。改めてご予約いただけますか」で終わりです。
あなたの休日の時間と、ここまで来た交通費・労力が、その瞬間丸々ムダになります。 - 意味のない「待ち時間」が発生する
「1時間半後ならご案内できます」と言われて、知らない街で時間を潰すことになる。
正直、その1時間半で予約して別の不動産屋に行った方が効率がいい、というケースも多いです。
私たちとしても、本音を言えば、
「せっかく来てくださるなら、その時間は丸々“お部屋探し”に使ってほしい」
と思っています。
だからこそ、
「確実に座って、腰を据えて話ができる権利」
を、予約で先に取っておいてほしいんです。
飛び込みで来て、
満席で断られて、不機嫌になって帰る——
これは、店側から見ても、お客様から見ても、
一番もったいない時間の使い方です。
もし断られたら「出直します」が最強の正解
とはいえ、
- たまたま近くまで来た
- ちょっと話だけ聞いてみたくなった
そんな瞬間もあると思います。
飛び込みで入ってしまうこと自体を、私は全否定しません。
大事なのは、「断られたときの引き際」です。
満席で、
「申し訳ありません、今はご案内が難しくて…」
と言われたら、ぜひこう返してください。
「分かりました! また予約して出直しますね」
これだけでOKです。
これが、飛び込み客としての“100点満点の引き方”です。
間違っても、
- 不貞腐れた表情を見せる
- ドアを乱暴に閉める
- 捨て台詞を吐く
みたいなリアクションはしない方がいいです。
■ なぜかというと…
「審査=保証会社が全部決める」って思われがちですが、現場はもっと複雑です。 どこで何が見られてるか、店長目線で本音で解説してます。
不動産屋は、
「人を審査に通すかどうか」も日常的に見ています。
- 態度
- 言葉遣い
- 話し方や雰囲気
こういった部分から、「この人は大丈夫そうか?」を見ているのも事実です。
もし飛び込みで来てキレ散らかした人が、
数日後に何事もなかったかのように予約して来ても、
「あ、この前キレて帰った人だ」
と店側はほぼ確実に覚えています。
その時点で、
「要注意人物」としてマークされるのは、想像に難くないですよね。
一方で、
「今日はタイミング悪かったですね。また改めて予約します!」
と笑顔で帰る人は、それだけで
「この方は感じがいいし、次来られた時はちゃんと時間確保しよう」
と、逆にポイントが上がります。
たった一言の違いですが、
その後に紹介される物件の熱量や、サポートの濃さは、本当に変わってきます。
予約が取れても、相手が“ヤバい店”だと結局しんどいです。 良い不動産屋/ヤバい不動産屋の見分け方はこっち。
まとめ:予約一本で「迷惑な客」から「大切なお客様」に変わる
最後に、ポイントを整理します。
- 満席時の飛び込みで不機嫌になるのは論外
→ 店員だけでなく、周りの予約客からも「審査落ち予備軍」として冷ややかに見られている - 予約客優先は当たり前
→ 数十万円〜数百万円の契約のために時間を押さえて来ている人を差し置いて、アポなし客を優先する理由はない - プロは即興でも提案できるが、「席」がなければそもそも何も始まらない
→ 飛び込みの最大リスクは、「物理的に門前払いになる」こと - もし断られたら、「また予約して来ます」と笑顔で引くのが唯一の正解
→ それだけで、次回は「きちんと対応したいお客様」として認識される
不動産屋に行くということは、
コンビニで軽く買い物をするのとは違います。
「数十万円〜数百万円の契約をするための商談に行く」
と考えてみてください。
大事な商談に、アポなしで行って、
相手が別件で予定パンパンなのに
「とりあえず今すぐ話聞いてもらえます?」
と押し切ろうとするビジネスパーソンは、あまりいませんよね。
- しっかり予約を取る
- もしタイミングが合わなければ、スマートに出直す
たったこれだけで、あなたは
「迷惑な客」から「大切なお客様」
に変わります。
良い物件に出会いたいなら、
まずやるべきことは一つだけ。
お店に一本、電話かメールで予約を入れること。
それだけで、不動産屋の“あなたを見る目”は、確実に変わります。


