はじめに
「不動産屋に行くけど、なんとなく緊張する」
「値下げ交渉って、やっていいのかな…?」
「変な会社に当たって、損をしたくない」
そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
前回の記事で「良い担当者を引き当てるコツは『良い客』になること」とお話ししました。
今回はその“逆”の視点です。
不動産業界に14年、店長としても現場に立っている私から見て「このお客様、正直ちょっと厳しいかも…」と感じてしまう“損するお客様”には、共通する特徴があります。
これは決してお客様を批判するための記事ではありません。
むしろ、「知らなかっただけで損をしてしまう」ことを防ぐための、現場目線の“お役立ちガイド”です。
第1章:「この人には頑張れない…」と思われる7つのNG特徴
その前に、まず大前提として知っておいてほしいことがあります。
それは「お客様の『審査』は、ファーストコンタクト(最初の問い合わせ)から始まっている」ということです。
「職業や年収に問題がないのに、なぜか審査に落ちることが多い…」
もし心当たりがあるなら、まさにこれからお話しする「態度」や「マナー」が原因かもしれません。
横柄な態度の方や、マナーが悪い方を、私たちが大切にしている大家様や、お付き合いのある管理会社の物件にご紹介できるでしょうか?
できませんよね。
「審査」と聞くと堅苦しいですが、これは「良いお客様」になっていただくための、一番の近道でもあるのです。
特徴①:態度が横柄な「王様」タイプ
• まさに、先ほどの「審査」の話の筆頭です。
• (例)「なんかいいとこある?(タメ口)」「払うのはこっちなんだけど?」と、上から目線
🔍 なぜ損する?
私たちも人間です。「この方のために頑張ろう」とはどうしても思えなくなってしまいます。
結果、本来ならご提案できた“+αの情報”が、ご紹介されないまま終わってしまうかもしれません。
特徴②:約束や時間を守れない「信用ゼロ」タイプ
• (例)遅刻しても一言も謝らない
• (例)内見を直前でキャンセル、あるいは無断キャンセル
🔍 なぜ損する?
業界内でもっとも嫌われる行動のひとつです。
物件の鍵を手配し、オーナーや管理会社に連絡をしてお待ちしている中でのドタキャンは、信頼関係を一気に崩します。
一度でも信用を失ってしまうと、その後の対応も“形式的なもの”になってしまう可能性があります。
特徴③:リアクションが薄い「何を考えているか分からない」タイプ
• (例)内見中に「ふーん」「はあ」など、反応が極端に薄い
🔍 なぜ損する?
こちらが「この物件、日当たり抜群ですよ!」と力を込めてご紹介しても、無反応だと「(この方は、何を優先しているのか全くわからない…)」と担当者も困惑してしまいます。
何が何だか分からないと、私たちも「本気の提案」のしようがありません。
特徴④:時期が遠すぎる「ひやかし」タイプ
• (例)「半年後の引っ越し予定だけど、今から内見したい」
🔍 なぜ損する?
たとえご本人にその気があっても、「実際は契約しないかもしれないな…」と思われてしまいます。
その結果、営業側も本気で向き合わず、“在庫処分的な物件”しか紹介されないことも。
(本音を言えば「スーモを見れば今の傾向は大体わかる」し、「今紹介しても、実際探す頃にはもう無くなっている物件ばかり」なのです)
特徴⑤:内見マナーが悪い「想像力ゼロ」タイプ
• (例)室内用スリッパのままベランダに出てしまう
🔍 なぜ損する?
その瞬間にアウトです。そこがクリーニング前だろうがなんだろうが、「人様の家」であることに変わりはありません。
(「あなたの家で、ベランダの靴でそのまま室内に戻られたら嫌じゃないですか?」)
そういった“想像力”の欠如が見えると、「この人、入居後も何かやらかしそうだな…」と一発アウト認定を食らいます。
特徴⑥:「交渉」を“権利”と勘違いする「強欲」タイプ
• (例)「え?たった3万円しか下がらないの?」
• (例)感謝の言葉ゼロで「もっと安くしろ」の一点張り
🔍 なぜ損する?
交渉は“お願い”であって、“当然の権利”ではありません。
(「家電量販店で考えてみてください!1万円の値引きがどれだけ大きいか!」)
礼儀や感謝のない交渉は、担当者のモチベーションを大きく下げます。
本来なら「大家さんに粘って交渉してくれた」かもしれないチャンスを、自ら捨ててしまっているのです。
特徴⑦:全部「丸投げ」する「任せきり」タイプ
• (例)「よくわかんないんで、いい感じのやつお願いします」
🔍 なぜ損する?
本気度が伝わりません。「冷やかし」や「時間つぶし」と誤解されてしまうこともあります。
エリア、予算、条件など、ざっくりでも構いません。
少しでも「方向性」が見えると、こちらも全力でご提案できるのです。
第2章:現役店長が“いちばん伝えたいこと”〜仲介手数料が「高く感じる理由」と、その“見えない裏側”〜
たまに「数件案内しただけで、なんでそんな手数料?」という声をいただくことがあります。
でも実は、それは“表側”の一部に過ぎません。
お客様が申し込みをして帰られた後――
私たちは、オーナーや管理会社、社内の関係部署と連絡を取りながら
「入居日までにクリーニングを早めてもらえないか?」
「審査が早く通るように資料を整えよう」など、かなりの調整と交渉を行っています。
この“裏側の仕事”にどれだけの時間と労力がかかっているか。
むしろ、お客様の目に見えないこの調整業務こそが、私たちの仕事の「大部分」であり「本質」なのです。
「仲介手数料を値切る」ということは、その「目に見えない裏側の仕事(=仲介の質)」も、その分減らしてくれと言っているのと同じことなのです。
まとめ:『嫌な客』を避けるだけで、提案の“質”は劇的に上がる
7つの特徴と、「仲介手数料」の裏側を本音でお話ししました。
厳しいことも言いましたが、どうか怖がらないでください。
最終的には「特別な知識やテクニックは必要ない」ということです。
「本気で探している」という姿勢と、
「時間・マナー・見えない努力へのリスペクト」さえ伝われば、
担当者は必ずあなたの味方になります。
その先には、「自分では見つけられなかった良物件」との出会いや
「ギリギリで家賃交渉が通った」なんて嬉しいご縁が、待っているかもしれません。
大切なのは“担当者との信頼関係”。
少し意識を変えるだけで、不動産探しは驚くほどスムーズになりますよ。
※本記事は筆者の実体験に基づいて執筆しており、アフィリエイトリンクは一切含まれておりません。

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