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こんにちは。不動産業界14年目、現役で店長をしているだいきです。
今日は、少しだけ耳の痛い話をします。
でもこれ、これから賃貸で暮らす人にも、いままさに隣人トラブルで悩んでいる人にも、絶対に知っておいてほしい話です。
正直、ここ数年で「近所付き合い」が一気に薄くなった感覚があります。
そのせいか、「お互い様」が通じない相談が増えました。店長として現場に立っていると、これがめちゃくちゃ肌で分かります。
特に明らかに増えているのが、「音」に関するクレームです。
- 「上の階の足音がうるさい」
- 「隣の部屋の話し声が気になる」
- 「赤ちゃんの泣き声で眠れない」
もちろん、度を超えた騒音は論外です。
深夜に毎日のように重低音が響く、怒鳴り声や喧嘩が続く、明らかに常識の範囲を超えた足音が長時間続く。
こういうケースは我慢しなくていい。管理会社に連絡してOKだし、身の危険を感じるなら警察に相談していい。
これはあなたの正当な権利です。
ここで最初にハッキリ言っておきます。
「我慢できないあなたが悪い」なんて話ではありません。
ただ、現場で話を聞いていると、少し首をかしげたくなる事例が増えているのも事実です。
「それは…さすがに生活音の範囲内では?」と思ってしまうような些細な音でも、許せなくなっている人が増えている。
たとえば最近だと、「夜10時に上の部屋の椅子を引く音がする」と相談がありました。
話を聞くと、上の方は小さいお子さんがいるご家庭で、特別うるさくしている意識もない。
こういう“悪者がいないのに揉めるケース”が、昔より増えた気がしています。
そして厄介なのは、こういう“グレーゾーン”ほど、住む人の心を削ることです。
相手が悪意を持っているわけでもない。だから解決が難しい。なのにストレスは毎日積み上がる。
結果として、「通報」「苦情」「言い合い」に発展していきます。
じゃあ、なぜ今、私たちはこんなにも他人の音に「不寛容」になってしまったのか。
そして、どうすればこのストレス地獄から抜け出せるのか。
今日は、不動産屋の立場から、きれいごと抜きの「残酷な真実」をお話しします。
なぜ私たちは「待てない・許せない」のか
昔に比べて、建物の防音性能は上がっています。
それなのに、なぜクレームは増え続けるのか。
私は、理由は建物ではなく「私たちの心」の変化にある気がしてなりません。
「スマホ脳」による待てない病
ひとつは、「スマホ脳」による待てない病です。
- 欲しい情報は0.1秒で出る
- 動画は倍速で見られる
- 不快な広告はブロックできる
- ノイズキャンセリングで静寂を作れる
そんな「自分の思い通りになる世界」に慣れすぎた私たちは、他人の出す音という“制御不能なノイズ”に対する耐性が、極端に下がっている。
これは性格の問題というより、環境の問題に近いです。
在宅ワークが増えて家にいる時間が長くなった人も多いですよね。
静かな部屋で過ごす時間が増えた分、壁の向こうの音が「邪魔」に感じやすくなる。
昔より今のほうが、音に気づきやすく、気になりやすい生活になっているんです。
「お客様意識」の暴走
もうひとつは、「お客様意識」の暴走です。
「家賃を払っているんだから、快適な環境を提供するのは当然だろ?」
そう思う気持ちは分かります。痛いほど分かります。家賃は安くないですから。
ただ、ここはホテルではありません。
壁一枚向こうには、別の生活リズムを持った他人が住んでいる「共同住宅」です。
ここで大事なのは、
「お金を払っている=王様」ではないという前提。
誤解してほしくないんですが、私は「安い家賃の人は我慢しろ」と言いたいわけじゃないんです。
私が言いたいのは、賃貸の快適さって、ホテルみたいに“誰かが全部整えてくれる快適さ”ではなく、条件(家賃・構造・立地)と、住む人同士の距離感で決まる快適さだということです。
この前提が抜けると、「相手が悪い」「管理会社が悪い」と責めても解決しないストレスにハマります。
そして一番しんどいのは、そのストレスを毎日受け取るのが、結局自分になるってことなんです。
6万円の部屋に「防音室」はついていない
ここで、プロとして残酷な事実を突きつけなければなりません。
「静けさ」は、駅近や広さと同じくらい、高いコスト(家賃)がかかる贅沢品です。
木造アパートや軽量鉄骨のマンションで「完全な静寂」を手に入れるのは、物理的に不可能です。
それは構造上の仕様であり、欠陥ではありません。
厳しい言い方をしますが、相場より安い家賃の物件を選んでおきながら、
「足音が聞こえる!」
「隣の声がうるさい!」
と怒るのは、軽自動車に乗って「なんでフェラーリより遅いんだ!」とメーカーに文句を言うのと、正直、似ています。
ただしこれ、勘違いしないでください。
軽自動車がダメって話じゃない。木造が悪って話でもないんです。
“求める静けさ”と“払っている家賃”がズレていると、誰も幸せになれないという話です。
住んでから地獄を見るくらいなら、最初から「静けさにお金を払う」選び方をしたほうが、結果的に安上がりです。
精神が削れて、引っ越し費用をもう一回払うほうが高いですから。
もし、あなたが「他人の気配を一切感じたくない」のであれば、選択肢は2つしかありません。
- 家賃を今の1.5倍〜2倍払って、分譲仕様の重厚なRCマンション(最上階・角部屋)に住む
- 駅から遠くても、隣家と離れた一軒家を借りる
音に敏感なのは悪いことじゃないです。体質みたいなものですから。
だからこそ、根性論で耐えるより、仕組み(物件選び)で解決したほうが早い。
「安くて、便利で、シーンとしている部屋」なんて、この世には存在しません。
このトレードオフを受け入れられないと、どこに引っ越しても、あなたはまた「隣人がうるさい」と通報することになります。
想像力という「最強の防音材」
「じゃあ、我慢しろってこと?」
そう思うかもしれません。
私がお伝えしたいのは、我慢ではなく「想像力を持とう」ということです。
正直、現場でいちばん悲しいのは、
本当は悪い人なんていないのに、音が原因で“敵認定”が始まってしまうことなんですよ。
いったん敵認定すると、同じ音でも10倍うるさく感じます。
エレベーターで会っても目をそらす。挨拶もしない。家に帰るのが憂うつになる。
そして最終的に、住みにくくなるのは当事者全員です。
上の階の足音が聞こえたとき。
「あいつ、わざとうるさくしやがって」と思うと、血圧が上がります。
でも、「仕事で疲れて帰ってきて、うっかりカバンを落としたのかな」と想像できれば、イライラは半分になります。
赤ちゃんの泣き声が聞こえたとき。
「親は何してるんだ」と怒るより、「今お母さんも必死であやしてるんだろうな」と思えば、少しだけ優しくなれるかもしれません。
そして忘れないでください。
あなたが出している生活音も、誰かが「まあ、お互い様だしな」と許してくれているかもしれないことを。
想像力って、きれいごとに聞こえるかもしれません。
でもこれは、賃貸で平和に暮らすうえでの「最強の防音材」です。
タダで手に入るのに、効き目がデカいんですよ。
まとめ:静かに住みたいなら、物件選びで勝負が決まる
説教くさい話をしてごめんなさい。
でも、店長として「せっかくの新生活を、イライラして過ごしてほしくない」という思いで書きました。
もし、あなたが「どうしても音に敏感だ」「静けさこそが最優先だ」というなら、部屋探しの時に正直にそう伝えてください。私たちはプロです。
- 「この予算なら、駅近は諦めてRC造にしましょう」
- 「最上階が空くまで待ちましょう」
- 「角部屋に寄せましょう」
- 「一軒家も現実的です」
あなたの優先順位に合わせて、「静かに住める確率が高い部屋」を提案することはできます。
逆に言うと、そこさえ押さえれば、賃貸暮らしはめちゃくちゃ快適になります。
最後に、行動は意外とシンプルです。
- 「静けさの優先順位を上げる」(=家賃・条件を見直す)
- 「多少の音は気にしない前提で暮らす」(=想像力で受け流す)
どっちを選ぶかを決めた瞬間、賃貸のストレスはかなり減ります。
「隣人がうるさい」と通報するその前に。
まずは、自分の住んでいる場所がどういう「箱」なのか。
そして自分は、他人に優しくできているか。
少しだけ立ち止まって考えてみてください。
それだけで、部屋の居心地は驚くほど変わるはずです。

