「このエアコン、まだ新しいから置いていきますね(ドヤッ)」
「照明器具、買ったばかりなんで次の人に使ってもらってください」
退去のとき、こうやって“善意モード”で言ってくださる方、実はかなり多いです。
ただ、現役店長として正直に言うと──
「すみません、正直かなり迷惑です。
持って帰っていただくか、こちらで撤去する場合は『撤去費用』をいただきます」
となります。
「え?タダであげるって言ってるのに、お金取られるの?」
と感じると思いますが、その裏には「次の入居者とのトラブル」という、退去するあなたからは見えない“未来のリスク”が潜んでいます。
【この記事で分かること】
- なぜ「まだ新しいから置いていきます」が撤去費請求の対象になるのか
- 「残置物」のエアコンや照明が、次の入居者とのトラブルを生む仕組み
- オーナーに「設備にしてください」とお願いしても、ほぼ通らない本当の理由
- 退去前にやっておけばよかった…と後悔しないための“現実的な片付け方”
- 撤去費を払うのではなく、「買取」でプラスに変えるための考え方
なぜ「新しいから置いていく」でも撤去費がかかるのか?
読者の感覚:
「まだ全然使えるし、むしろ“価値があるもの”を置いていってあげてるつもりなんだけど?
なんでこっちがお金払わなきゃいけないの?」
店長の答え:
「残していかれた瞬間、そのエアコンは『誰の持ち物でもなくなる』可能性があるからです」
ここが一番のポイントです。
シミュレーション:あなたがタダで置いていった「未来」の話
では、あなたが
「このエアコン、新しいので置いていきます」
と言って、管理会社もとりあえずそれを受け入れたとします。
そのあと、次の入居者が決まったとき、よくあるパターンはこの2つです。
パターンA(ラッキーなケース)
・次の入居者が部屋を見に来て、こう言ってくれる
→「あ、エアコンあるんですね。そのまま使わせてもらえれば助かります」
この場合は正直ラッキーです。
ただし多くの管理会社は
「このエアコンは“残置物”なので、壊れてもオーナーは修理・交換しません」
という条件を付けます。
あくまで“たまたま置いてあったオマケ”扱いですね。
パターンB(現場で本当に多い、厄介なケース)
・次の入居者がこう言うパターン
→「中古のエアコンはちょっと…自分で新品を持ち込みたいので全部撤去してください」
ここで“ババ抜き”が始まります。
問題は、「誰がお金を払って撤去するのか?」です。
- オーナー?
→「いや、それ俺が買った設備じゃないし。前の入居者が勝手に置いたんでしょ?」 - 次の入居者?
→「入る前から付いてる“ゴミ”に、なんで私がお金払うんですか?」 - 管理会社?
→「ボランティアじゃないので、“誰の物でもないエアコン”に会社のお金は出せません」
誰も払いたくないので、完全に行き場を失います。
なので現場では、
「将来このババ抜きにならないように、退去する人から撤去費をもらっておく」
という運用にしている管理会社がほとんどです。
どんなに新品に近くても、置いていく=未来のゴミ候補。
だから「置いていくなら撤去費」というルールになるわけです。
※「置きっぱなしが将来のトラブルになる」という意味では、ベランダのゴミ袋問題ともかなり近い話です。
「オーナーに交渉して“設備”にしてください」もやめてくれ
ここでよく出てくるのが、このセリフです。
「じゃあオーナーさんの持ち物(設備)として買い取ってもらえませんか?」
気持ちは分かりますが、現場の本音は一言でいうと
「その交渉をするくらいなら、最初から持って帰ってほしい」
です。
オーナー目線で起きていること
エアコンを“設備”として引き取る=
「壊れたときの修理・交換を、今後ずっとオーナー負担にする」という契約になります。
- いつ壊れるか分からない中古のエアコン
- しかも、自分が選んだメーカーでも型番でもない
- 数年後に高額な交換費用が飛ぶ可能性がある
この条件で「ぜひ設備にさせてください!」と言うオーナーは、ほぼいません。
管理会社としても、
「このエアコンを設備にしますか?」
「壊れたらオーナー負担になります」
という説明・合意取りを一件一件やるのは、手間とリスクが大きいんです。
なので、
- 設備にする交渉は基本おすすめしない
- “残置物”として置くのもトラブルの元
ということで、「持ち帰るか、撤去費を払って置いていかないか」が、現場のリアルな落としどころになっています。
結論:置いていくな。金になるうちに「売れ」
ここまでの話をまとめると、
- 置いていく
→ 将来のトラブル&撤去費でマイナスになる可能性が高い - 自分で手放し方を選ぶ
→ 状況によってはプラスになるか、少なくとも損を最小限にできる
という構図になります。
「持って帰れないから、ここに置いていくしかない」
と考える人が多いですが、実はもう一つ大事な選択肢があります。
それが「買取に出す」という方法です。
引越しのついでに「これ売れますか?」と聞くのが最強
例えば、以前の記事でも紹介した「トレファク引越」のようなサービスなら、
- 引越しの見積もり
- 要らなくなった家具・家電の買取査定
をワンセットでやってくれます。
比較してみましょう
❌ 管理会社に置いていく
→ 撤去費で数千円〜数万円のマイナス
⭕️ 引越しと一緒に買取に出す
→ 状態次第ではプラス査定で現金化
冷静に比べると、どちらが得かは明らかですよね。
「置いていく」=“未来のゴミ”を残すこと
「売る」 =“今ある価値”をちゃんと回収すること
本当に新しくて価値があるタイミングなら、
管理会社に押し付けるのではなく、「買取業者」に渡すのが一番スマートです。
引越しと不用品処分を一気に片付けたい方は、以前紹介した「トレファク引越」のレビュー記事も参考にしてみてください。
「マジでやめとけ」引越しで“大損”した私の失敗談3選と、現役店長が教える“比較”の唯一の正解
まとめ:立つ鳥跡を濁さず。自分のモノは自分でケリをつける
- ベランダや室内に残したエアコン・照明は、「専有部分に置かれた他人の荷物」になり、将来のトラブルのタネになります。
- 残置物のまま次の入居者が嫌がれば、撤去費がどこかで発生します。現場では、その負担が宙ぶらりんにならないよう、退去時にまとめて請求する運用が主流です。
- オーナーに設備化をお願いしても、「壊れたときの負担」と「交渉コスト」を考えると、断られるのが普通です。
だからこそ結論はシンプルです。
「自分が持ち込んだ物は、自分のタイミングで手じまいする」
これが、退去トラブルを防ぐ一番のコツです。
本当に価値があるうちに、
- 使ってくれる人に譲る
- 買取業者に売る
など、“自分から動いて”片付けてしまった方が、あなたも、オーナーも、次の入居者も全員ハッピーになります。
退去のときに
「置いてってあげるから感謝してよ」ではなく、
「お世話になりました。荷物もきれいに片付けて出ますね」
と言える人の方が、次の物件探しでも確実に得をする──
現役店長として、これは胸を張って言えます。


